責任感の強い師長が燃え尽き寸前に 「力の抜き方」を覚えてもらう方策は

※ 日経ヘルスケア 2012年2月号 掲載 ブログにするにあたり株式会社日本経済新聞出版社より許可を頂いております。

責任感の強い師長が燃え尽き寸前に 「力の抜き方」を覚えてもらう方策は

責任感が強く、スタッフからの人望が厚い看護師のAさん。
最近、主任から 師長に昇格したが、生真面目なAさんは
常に自分の部署のことが気になり、 休日も出勤せずにはいられない。
オー バーワークを看護部長に指摘されても 行動を変えられず、
心身ともに疲れ果て、燃え尽き寸前まで追い込まれた。

Aさんは200床規模の急性期病院に勤務しており、
40歳代前半で師長に昇格した。
何事も一生懸命に頑張ることが信条で、
これまで常に全力で仕事に打ち込んできた。

仕事を何よりも優先してくれるという人は、
上司や同僚から見てありがたい存在だ。
残業が必要になれば率先して残り、委員会などの仕事もそつなくこなし、
急な勤務変更を頼んでも引き受けてもらえる─。

どんな看護の職場にも、このような人が一人はいるだろう。

だが職場には、「そんなに頑張らない」人も少なからず存在する。
「看護は好きだが、仕事より家庭が大事」という人もいれば、
「お金をある程度稼げればそれでいい」と割り切っている人もいる。

そうしたスタッフがいる職場で、Aさんのようなタイプの人が管理職に就くと、
組織がうまく回らなくなることがある。

管理職になれば、「そんなに頑張らない」スタッフの存在も認めつつ、
メンバーの力をうまく引き出して組織を運営していく必要がある。
だが、Aさんのような頑張り屋の人は往々にして、
自分の価値観で人を見て「なぜ頑張れないのか」と
フラストレーションをため込んだり、
部下が働かない分を自分がカバーしようとしてオーバーワークになりがちだ。

権限を部下に委譲し、多少のリスクを負わせながら
責任感や自発性を育てることも管理職の大切な任務である。

「管理職になって一番先にやるべき仕事は、
これまで手がけていた業務をやめることだ」と言う人さえいる。

Aさんは、自分が管理職になる前に発揮していたリーダーシップが
部下の中に芽生えることを待ったり、促していく必要があった。
だが彼女は、「部下に失敗させてはいけない」などと気負いすぎ、
いつも見ていることが師長の責任ととらえ、
休みもろくに取らなくなってしまったのだ。

しかも悪いことに、
「Aさんが休まないから、私たちも休みづらいよね」
と部下が言っていることを人づてに聞き、Aさんは深く傷ついてしまった。

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ほかの管理職と本音で語り合う

筆者は、この病院の院長から依頼され、
継続的に看護師の研修(コーチングトレーニング)を担当している。
看護部の主任以上の管理職を集めたある日の研修で、
Aさんは「一生懸命やっているのに空回りしてばかり……」と日ごろの思いを訴え、
泣き出してしまった。

そこで筆者は、その場で「ファシリテーション」を行うことにした。
ファシリテーションとは、
グループのメンバーの相互理解や合意形成などを導くための手法。
やり方はいろいろあるが、
今回は管理職に一言ずつAさんへのメッセージを語ってもらうことにした。

ポイントは、意見ではなく、
あくまで癒やしや励ましの言葉だけをかけると限定すること。
自由に話していいとなると、「自分も我慢しているのだから」などと
説教じみたことを言う人が出てきかねないからだ。

また、話が長くなってくると、次第に余計なうんちくを語り始める人も出てくる。
そのため、メンバー構成などによっては、
一人ひとりが話す時間をあらかじめ決めるといった配慮も必要になる。

Aさんに対してほかの管理職たちは、
「頑張りすぎないで私たちを頼ってね」というメッセージを送ってくれた。
「『Aさんが休まないから私たちも休みづらいな』って言ったのは私です」と
正直に告白した主任もいた。

1時間ほど管理職たちが言葉をかけると、
Aさんの気持ちも軽くなったようで、笑顔が出てきた。
本音で話し合うことで、
みんなでAさんを支えようとする大きな力(グループダイナミクス)が生じたのだ。

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メールの報告で「気づき」を促す

また今回のケースでは、Aさんが
「他人の分まで一生懸命頑張る」
という信念を手放すこと(ビリーフチェンジ)ができるかどうかが鍵だった。
長年、自らの行動のベースとなってきた価値観や信条を手放すのは
決して簡単ではないが、筆者はあえてAさんが頑張りすぎないよう、
「力の抜き方」を覚えてもらうことにした。

Aさんには、「頑張らないことを頑張る」、
つまり頑張りすぎないように努めることを課題として示したが、
これはすんなり受け入れられた。
なぜなら、Aさんは頑張ることが得意だからだ。
真面目すぎる人に「休んでね」と言っても、なかなかうまくいかないことがあるが、
そんなときは「頑張らないことを頑張る」というタスクにすると達成しやすい。

具体的には、
1.休日出勤はしない、
2.どんなときに頑張らなければならないと思ったかを筆者にメールで報告する
─の2点を実践してもらうことにした。

1については、Aさんが守りすぎると、
部下の成長をかえって妨げかねないことを強調し、
休日出勤を我慢してもらった。
2は、「自分が頑張らなければ」という思いにとらわれる際の状況を正確に知ることで、
どうすればそう思わずに済むか、自ら考えるきっかけにしてもらう狙いがあった。

Aさんは2カ月間、この課題をこなしながら自分自身と向き合った。
また、看護部長の協力を得てAさんに半ば強制的に長期休暇を取ってもらい、
自分自身を見つめ直す時間を作ってもらった。

課題を実践する過程でAさんは、
「頑張っていない人は駄目だ」と見ている自分を発見したという。
「これからは、どんな部下も平等に見て、みんなの力を引き出せるようにしたい」
と話すようになった。
今では頑張りすぎる信念を手放し、気兼ねなく休みも取るようになり、
部下 に安心して仕事を任せられるような頼もしい師長になっている。

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