看護人材の定着・ヤル気向上策を語ろう
TNサクセスコーチングのコーチングが
成果を上げている病院のご紹介をします。
※ 最新医療経営PHASE3(フェイズ・スリー)2017年5月号 掲載 ブログにするにあたり日本医療企画出版社より許可を頂いております。
目次
看護人材の定着・ヤル気向上策を語ろう
新卒・中途・ベテランそれぞれに適したモチベーションアップ策を展開
北九州市にある医療法人真鶴会小倉第一病院は
腎不全・糖尿病治療の専門病院として地域に根を下ろしている。
病床数は80床。
けっして高度な医療設備を整えているわけではないが、
看護師採用にあたって人材紹介会社からの紹介は「ゼロ」。
新卒、中途採用ともに高い応募率を誇るが、
背景には同院の充実した「モチベーションアップ」策がある。
ここでは同院の中村秀敏理事長・院長と、
その研修を担うTNサクセスコーチング株式会社の
奥山美奈・代表取締役にその要諦を議論してもらった。
医療法人真鶴会小倉第一病院
1972年12月に血液透析専門のクリニックとして開業。高齢化問題、長期透析の合併症など、問題がより複雑化している透析患者に対応すべく、設立理念である「透析患者の完全社会復帰」を実践している。
所在地:福岡県北九州市小倉北区真鶴2丁目5番12号
電話:093-582-7730
診療科目:腎臓内科、糖尿病内科、人工透析内科、内分泌内科、リウマチ・膠原病内科、循環器内科、形成外科
専門:血液透析・腎臓病・糖尿病病床数:80床(10対1一般病床<32床)、
20対1医療療養病床<48床)職員数:常勤医4人、常勤看護職66人、看護補助者19人
※数字は2015年度
最新医療経営PHASE3(フェイズ・スリー)2017年5月号
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やりっぱなしの研修からトータル研修プログラムへ。TNサクセスコーチング
06年度改定を機に採用対策に本腰
「看護師のモチベーションを引き上げたい」と強調していたのを覚えています。
「とにかく看護師を確保するんだ」ではなく、看護師のモチベーションを重視する姿勢が印象的でした。
もともとは看護師確保から出発したようですが、そのような課題認識を持つようになったいきさつから教えていただけますか。


というのは、私の父である先代理事長が地域の医師会長を務め、医師会運営の看護学校校長も併任していた関係で、毎年数人、看護学校から入職していたのです。
そのため採用活動もほとんど行っていませんでした。
ところが2006年度診療報酬改定で7対1入院基本料が設定され、この年の採用面接にたった一人しか応募してこなかったのです。
これは衝撃でした。次の年も同じ状況が続いたのです。
それまでは看護学校にあいさつ回りすることも、採用のPR活動をするといったことも、考えたことさえありませんでしたが、いきなり人材採用会社に頼り切るのもシャクなので(笑)、まずは挨拶回りから始めました。




とはいえ、ハード面では総合病院にかないません。
中小病院で何をするか。
ハードでなくソフト面を充実させることになりました。
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「新人時代に手厚い研修」を掲げスタート支援体制を整備


入職日から始まる全体研修が2週間。これは床規模の病院ではかなり長いほうだと思います。
それとIT研修が80時間。
合計20日間の研修期間を設けています。
それ以外にもコーチング研修、接遇研修、介護研修などを、外部講師をお招きして実施しています。
研修による効果ももちろんですが、外部から講師をお招きする体制は、やる気がある看護師にとっては魅力的だと思います。
外部の研修会に出かける際に手当てを支給してくれる病院もありますが、おおよそ2万円程度。
地方から東京や大阪の研修に行くとなると、交通費だけで費やされ、結局自費での参加となるのです。
それだけに予算を確保して研修を実施している貴院の姿勢にとても驚きました。


宇宙ロケットも発射の時点が重要と聞きます。
これらと同じ考え方が看護師の定着にも当てはまると思うのです。
つまり新人時代にどれだけ手厚い教育を提供できるか。
看護師としてスタートを切る際は手厚いケアをし、安全に飛び立てる環境を用意することに気を配っています。
4年目にはハワイ研修も設けていますね。


4年目に実施することに決めたのは先代理事長ですが、結婚して出産したり、3年間当院で腕を磨いて転職したりといったように、「4年目」が節目だったのです。
それならば、そこで魅力的な研修を用意すれば、また頑張ってくれる看護師もいるだろうと思ったのです。
院内職員用のグループウェアにハワイ研修の楽しそうな様子が画像としてアップされますから。新人はそれをめざして頑張ろうと思うようです。
こうした取り組みを通じて、離職率はどのくらい低下したのですか。


入職3年を超えるとおおむね長くいてくれます。
その分、研修費用にあてているとも言えますね。


なかむら・ひでとし
1995年3月、熊本大学医学部卒業。新日本製鐵株式会社八幡製鐵病院内科、
九州大学医学部附属病院第二内科、雪の聖母会聖マリア病院腎臓内科、
九州大学医学部附属病院第二内科病棟等を経て、04年4月、小倉第一病院。
04年7月、医療法人真鶴会小倉第一病院副院長。
11年3月、同院院長副理事長。
13年8月、同院理事長。
中途採用の看護師にも「同期がいる」体制に
通常、ある程度キャリアを積んだ看護師ですと、病院の業務の進め方になじめなかったりしますが、それがありません。


理由は、採用するたびに研修すると一人のため一に看護師の時間と労力を割くことになり、もったいないこと。
それから入職のタイミングが秋くらい。ですと、どうしても「宙ぶらりん」の感覚が芽生えてしまうのですが、4月の年度初めに研修の機会を設けることで、「自分は○年度入職で、同期も△人いる」という感覚を持ってもらえます。
病院や他の職員にとってもメリットはあります。
他の職場で経験を積んだ看護師が新人のなかに交じっているとそこでリーダーシップを発揮してくれたり、新卒看護師の相談相手になったりすることもあります。
秘訣は何ですか?


病院の日常的な様子がわかるのが大きいようです。
「人間関係がよさそうだな」といった具合に感じ取って応募するといったパターン導が多い。
そうした雰囲気などは病院が用意するパンフレットでは伝えきれませんからね。
若い世代は「LINE」や「インスタグラム」といったSNSにユーザーの中心層が移っているので、そうしたSNSへの発信も必要です。
また個別の看護学校へのアプローチの仕方も見直す必要があると思っています。
院内コーチ認定「とてつもなく高い指導力をもつ管理者」に育成 TNサクセスコーチング
「指導する側」の研修・支援体制も整備
現在の新人教育は至れり尽くせりの感もありますが、そうなると上の年代の看護師からは妬みも生まれやすくなると思います。


毎年、去年の結果をフィードバックして研修を改良していますから、その意味で当院は毎年、先輩看護師がうらやましがる環境が用意されていくわけです(笑)。
それは仕方がないというか、むしろ教育が充実することは良いことだと認識してもらうように働きかけています。
「私の頃が厳しかったから今も同じように」という時代でもありませんし。私が医師になりたての頃は「看護師長になるなら結婚は諦めろ」と平然と言われていましたが、それでは看護師になる人はますます減るでしょう。
それにいくら大事にされているとはいえ、やはり新卒看護師は新しい職場で緊張しているものです。
上司になる立場の人には傾聴をはじめ若手看護師を育てるスキルを身につけてほしいと思っています。


プリセプター研修と新人研修を相互リンクしてもらっているのは良いアイデアだと思います。
これはとても良いことだと思いますが、プリセプターも悩むようです。キャリアとしては10年近く多い看護師に向かって仕事のやり方を教えるのですから。
そこで伝えているのは「ティーチング」でなく自ら率先して仕事の、やり方を変えてもらう「コーチング」が大事ということ。
ロールプレイングなどで実践し、身につけてもらっています。


うまく教えられないことを取り繕ったり、相手を包み込むことができないために厳しく接したりするプリセプターは本当にいなくなりました。
自分の担当した新卒看護師が育たない、仮に医療事故が起きたらどうしよう、とか。
その不安から、自分が新人の頃に言われたようなきつい言葉で指導してしまう。
でも、それはプリセプター自身の不安であることを認識しなければいけません。
本当に「この子に失敗させるわけにはいかない」という愛情があったとしても、接し方を誤ることで「私は先輩から嫌われている」と受け止められてしまうのです。

たとえば小倉第一病院では新人看護師全員にi Padを支給しています。
当然、年長の看護師が新人だった頃はなかったでしょうけれど、そこで「せっかくこんなに良いツールをもらったのだから頑張ろうね」と、声のかけ方一つで新人看護師のモチベーションは大きく変わってくるはずです。

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ワーク・ライフ・バランスとキャリアアップの双方に注力
小倉第一病院はワーク・ライフ・バランスを重視しており、20以上の勤務パターンが用意されています。
北九州市の「ワーク・ライフ・バランス表彰」を受賞されたほどですが、あまり特定の職員の負担軽減に力を入れすぎると他の職員への「シワ寄せ」になりかねません。
そのあたりはどうお考えですか?


確かに子育て世代への支援は重要で、そのための取り組みをご評価いただきましたが、一方でこうした施策について「逆効果を生んでいる」と考えている職員がいることがわかったのです。
子育て中の看護師に手厚い支援を行うと、子育てが終わった看護師や独身の看護師のあいだでは不公平感が生まれていたのです。
そこで「学会発表手当」と「資格取得手当」を立て続けに設けました。当院が指定する学会で発表したり、透析・糖尿病関連の資格を取得したりすれば、手当をつけるというものです。
これらは子育て中では手が出ませんし、バリバリやっている看護師ならば十分めざせます。
こちらはフルに働き、かつ頑張っている人への手当と位置づけています。実際、不満は聞こえなくなりました。


病院側の負担も小さくありません。


ただ、声がけや傾聴は費用の発生することではありません。
人間関係を良くすることに関しては、お金はかからないはずです。


本日はありがとうございました。

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看護師の定着とやる気向上の秘策 フェイズ3 中村秀敏理事長対談 2017.5月号
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